洪水対策で家を守るには。今すぐできる対策からリフォームによる浸水対策まで解説

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 近年、局地的な豪雨や台風による住宅への浸水被害が全国で相次いでいます。

 大切な家を洪水から守る方法は、今すぐできる備えから、リフォームによる根本的な対策まで幅広くあります。それぞれの特徴と選び方を解説します。

洪水・ゲリラ豪雨による住宅被害

 近年は、線状降水帯や局地的な豪雨の発生により、全国各地で河川の氾濫や内水氾濫、土砂災害が相次いでいます。内閣府「令和8年版防災白書」では、令和7年9月に台風第15号の影響で、神奈川県に線状降水帯が発生し、24時間降水量が150mmを超える大雨となったことが紹介されています。

 防災白書では、ゲリラ豪雨や突風、降雹(ひょう)などを伴う危険な積乱雲の早期検知や予測技術の高度化が進められていることも紹介されており、短時間に激しい雨が降る災害への備えが重要な課題となっていることが分かります。

 こうした豪雨は、河川の氾濫だけでなく、排水能力を超えた雨水による内水氾濫も引き起こし、住宅にも浸水などの被害をもたらしています。そのため、ハザードマップの確認や住宅の浸水対策を事前に講じておくことが、これまで以上に重要になっています。

洪水・浸水・ゲリラ豪雨の違い

 洪水・浸水・ゲリラ豪雨という表現は同じような場面で使われますが、指している現象は異なります。

 「洪水」とは、河川の水位が上昇し、堤防を越えたり決壊したりして周辺に水があふれ出す現象を言います。

 「浸水」は大雨や洪水によって建物や土地に水が入り込んだ状態を指し、洪水以外にも下水道や側溝の排水が追いつかない内水氾濫によっても発生します。

 「ゲリラ豪雨」は正式な気象用語ではなく、予測が難しい局地的な短時間強雨を指す通称で、都市部の内水氾濫を引き起こす要因のひとつです。これらの違いを理解しておくと、自宅がどの経路で浸水するリスクを抱えているのかを把握しやすくなります。

住宅で起こりやすい被害

 浸水が発生すると、住宅にはさまざまな被害が及びます。 床下や床上への浸水は、断熱材や床材を傷めるだけでなく、木部の腐食やシロアリ、カビの発生につながります。

 電気配線やコンセントが水に浸かれば漏電や火災のリスクが高まり、給湯器やエアコンの室外機が浸水すると故障して交換が必要になる可能性があります。

 家財や家電の損傷、下水の逆流による衛生面の悪化も代表的な被害で、復旧には時間と費用を要します。

自宅の浸水リスクはハザードマップで確認できる

 自宅がどの程度の浸水リスクを抱えているかは、国土交通省の「重ねるハザードマップ」や、各自治体が公表する洪水ハザードマップで確認できます。

 住所を入力するだけで、想定される浸水深や浸水継続時間、避難場所までの経路が地図上に表示されます。想定浸水深が大きいエリアや、浸水継続時間が長いとされているエリアでは、日常的な備えに加えてリフォームによる対策を検討する必要性が高いといえます。

 また、ハザードマップを見る際は、浸水の有無だけでなく「想定浸水深」にも注目しましょう。浸水深が50cm未満であれば主に床下浸水、1m前後になると床上浸水や設備機器の被害が及ぶ可能性があります。浸水深が大きいエリアほど、日常的な備えに加えて止水板の設置や電気設備の移設などのリフォーム対策が重要になります。

今すぐできる洪水対策・浸水対策

 大掛かりな工事をしなくても、日頃の備えや大雨が予想されるタイミングでの行動によって、浸水被害をある程度抑えることができます。費用をかけずに始められる対策から見ていきます。

土のう・水のう・止水板で浸水を防ぐ

 玄関や勝手口など、水が侵入しやすい開口部には、土のうや水のう、簡易的な止水板を設置することで浸水を遅らせる効果が期待できます。土のうは砂を詰めた袋を重ねて使うもので、水のうはポリ袋やゴミ袋に水を入れるだけで作れるため、土のうに比べ、急な大雨の際にも準備しやすい方法です。

 市販の簡易止水板は開口部の幅に合わせて設置するタイプが多く、繰り返し使える点がメリットです。

資材特徴用途
土のう重ねて隙間を塞ぐ、耐久性が高い事前に準備できる場合
水のう水を入れるだけで作れる、軽量急な大雨で時間がない場合
簡易止水版繰り返し使える、設置が早い開口部が決まっている住宅

雨どい・側溝・排水口を掃除する

 雨どいや側溝、敷地内の排水口に落ち葉やゴミが詰まっていると、雨水がスムーズに流れず、あふれた水が建物に流れ込む原因になります。台風や梅雨の季節を迎える前に、雨どいの詰まりや破損、側溝の泥のたまり具合を点検し、こまめに清掃しておくことが浸水対策の基本となります。

家電・家具を高い場所へ移動する

 浸水が想定される地域では、大雨の予報が出た段階で、床に直接置いている家電や家具、貴重品をできるだけ高い場所へ移動させておくと被害を最小限に抑えられます。特にコンセント周りの家電や、水に浸かると使えなくなる精密機器は優先的に移動させておきたいところです。

避難経路や非常用品を確認する

 浸水対策の目的は建物を守ることでなく、家族の安全を確保する点にあります。ハザードマップで避難場所と避難経路をあらかじめ確認し、飲料水や非常食、懐中電灯、モバイルバッテリーや常備薬などの非常用品を備えておきましょう。なお、冠水した道路は水深が見た目より深いことが多く、避難は早めの判断が求められます。

 あわせて、加入している火災保険の補償内容を確認しておくことも大切です。火災保険には水災補償を付帯できる場合があり、洪水や浸水による建物・家財の被害が補償対象となるケースがあります。この機会に改めて契約内容を確認しておきましょう。

洪水対策はリフォームでさらに強化できる

排水桝

 日常的な備えだけでは対応しきれない浸水リスクを抱えている住宅では、リフォームによって建物そのものの防水性能を高める方法が有効です。

 洪水対策リフォームにかかる費用は工事内容によって異なりますが、比較的簡単な対策であれば数万円程度から、排水設備の改修や大規模な外構工事では数十万円以上かかることもあります。

 まずは自宅の浸水リスクを把握し、優先順位の高い対策から検討することが重要です。

止水板・防水ドアを設置する

 玄関や勝手口、ガレージの入り口などに固定式の止水板や防水性能を持つドアを設置すると、簡易的な土のうよりも高い浸水防止効果が期待できます。工事で後付けするタイプは、普段は目立たず、必要なときだけ差し込んで使用できる製品も多く、景観を損ないにくい点も選ばれる理由です。

 一度浸水した経験がある住宅は、周辺の地形や排水環境の影響で再び浸水しやすい傾向があります。過去の被害箇所を中心に、止水板の設置や排水設備の改善などの対策を優先的に検討しましょう。

雨どいを大型化・交換する

 既存の雨どいが古くなっていたり、想定していた降水量に対して容量が不足していたりする場合は、雨どい自体を太い規格のものへ交換することで、屋根からの排水能力を高められます。

 破損や劣化が見られる雨どいをそのままにしておくと、雨水が正しく排水されず、外壁の劣化や浸水リスクの拡大につながります。

外構・排水設備を改善する

 敷地内に降った雨水をスムーズに排水できるかどうかは、外構や排水設備の状態に大きく左右されます。ここでは代表的な改善方法を見ていきます。

排水勾配の見直し

 勾配のある土地で建物が低い位置に建っている場合、雨水が家の周りにたまりやすくなります。外構工事の際に排水勾配を建物から離れる方向へ見直すことで、雨水を敷地の外や排水設備へ効率よく流せるようになります。

排水桝の整備

 排水桝(はいすいます)は雨水や汚水を集めて下水道や側溝へ流すための設備です。老朽化して破損していたり、容量が不足していたりすると排水が追いつかず、庭や駐車場に水がたまる原因になります。排水桝の増設や交換によって排水能力を高めることができます。

 ただし、お住まいの敷地内の排水桝の増設や新設などを行う際は、自治体の下水道担当部署への申請と指定工事店による施工が必要です。

透水性舗装への変更

 コンクリートやアスファルトで舗装された敷地は雨水が地面に浸透しにくく、表面を流れる水量が増えてしまいます。駐車場やアプローチに透水性のある舗装材を施工すると、雨水が地中へ浸透しやすくなり、敷地内の冠水リスクを抑える効果が期待できます。

外壁・基礎の防水性能を高める

 外壁や基礎にひび割れや目地の劣化があると、そこから雨水が浸入し、内部の木部や鉄筋にまで被害が及ぶことがあります。防水塗料やシーリング材による補修、基礎の立ち上がり部分への防水処理を行うことで、外部からの水の侵入を防ぐ効果があります。

 外壁や屋根、雨どいなどの外回りは常に風雨や紫外線の影響を受けているため、定期的なメンテナンスリフォームをおすすめします。劣化を早期に発見し適切に補修することで、建物の耐久性を維持できるだけでなく、将来的な大規模修繕のリスクや費用の軽減にもつながります。

床下への浸水対策を行う

 床下は湿気がこもりやすく、浸水すると乾燥に時間がかかる部分です。床下換気口に取り付ける止水弁の施工によって、浸水しても被害を抑えられる対策が可能です。あわせて床下換気を改善しておくと、浸水後の乾燥もスムーズになります。

電気設備・給湯器・室外機を高い位置へ移設する

 分電盤やコンセント、給湯器、エアコンの室外機が地面に近い位置に設置されていると、浸水時に故障や漏電のリスクが高まります。

 これらの設備を壁の高い位置や専用の架台の上へ移設しておくと、床上浸水が発生した場合でも被害を回避しやすくなります。

浸水対策リフォームの検討をおすすめする住宅とは

 すべての住宅に同じレベルの浸水対策リフォームが必要というわけではありません。次のような条件に当てはまる住宅は、優先的にリフォームを検討する価値があるといえます。

過去に床下・床上浸水したことがある

 一度浸水したことがある住宅は、周辺の地形や排水環境が原因で再び浸水する可能性があります。過去の被害箇所を中心に、止水板の設置や排水設備の改善などの対策を優先的に検討しましょう。

 乾燥や消毒の措置だけでなく、シロアリ対策も重要です。浸水によって床下の湿度が高い状態が続くと、木部の腐食やカビだけでなく、シロアリが発生しやすい環境になるためです。特に築年数が経過した住宅や、防蟻処理を行ってから一定期間が経過している住宅では、床下点検とあわせて防蟻処理を行う必要があるかもしれません。検討すると安心です。

道路より敷地が低い

 敷地が前面道路よりも低い位置にある住宅は、雨水が自然と流れ込みやすく、大雨の際に敷地内へ水がたまりやすい傾向があります。

 外構の排水勾配を見直したり、敷地の境界部分に止水対策を施したりすることが有効です。

雨どいや排水設備が古い

 築年数が経過し、雨どいや排水桝、側溝などの設備が劣化している住宅では、本来の排水能力を発揮できていないことが考えられます。定期点検で劣化が見つかった場合は、早めの交換や補修を検討することをおすすめします。

ハザードマップで浸水想定区域に入っている

 自治体の洪水ハザードマップで浸水想定区域に指定されているエリアの住宅は、想定される浸水深に応じたリフォームを検討しておくと安心です。

 想定浸水深が1メートルを超える地域では、止水板の設置に加えて、電気設備の移設など複数の対策を組み合わせることが望ましいでしょう。

ゲリラ豪雨に有効なリフォームとは

 河川の氾濫による洪水だけでなく、局地的なゲリラ豪雨によっても住宅は被害を受けます。ゲリラ豪雨特有のトラブルに備えたリフォームのポイントを見ていきます。

ゲリラ豪雨で起こりやすい住宅

 短時間に非常に強い雨が降るゲリラ豪雨では、排水が追いつかずにベランダや屋上に雨水がたまる「オーバーフロー」や、屋根や外壁の隙間からの雨漏り、雨どいからの雨水のあふれが起こりやすくなります。

 強い雨風を伴うことも多く、屋根材のずれや破損を招くケースもあります。

屋根・雨どい・ベランダ防水の点検が重要

 ゲリラ豪雨による被害の多くは、屋根や雨どい、ベランダの防水層など、雨水の通り道となる部分の劣化がきっかけで起こります。

 定期的な点検で防水層のひび割れや排水口の詰まりを早期に発見し、必要に応じて防水塗装のやり直しや排水口の清掃・改修を行うことで、雨漏りやオーバーフローのリスクを回避できます。

ゲリラ豪雨対策リフォームがおすすめな住宅

 築年数が経過して屋根や防水層のメンテナンスをしばらく行っていない住宅、ベランダや屋上に水たまりができやすい住宅、周辺の道路が過去に冠水したことがあるエリアの住宅は、ゲリラ豪雨に備えたリフォームを検討する時期にきているといえます。

 屋根・雨どい・防水層の点検を同時に行うことで、洪水対策と合わせて効率よく工事を進められます。

リフォームプランナーからのアドバイス

 洪水対策は、浸水リスクが低い地域の場合には雨どいや排水設備のメンテナンスだけでも十分なケースがあります。一方、浸水想定区域内や過去に浸水被害を受けた住宅では、止水板の設置や設備機器の移設などを優先的に検討すると効果的です。

 大切なのは、お住まいの状況に合った対策を選ぶことです。

まとめ

 洪水やゲリラ豪雨による住宅被害は、日常的な備えだけで防ぎきれない場合があります。特にハザードマップで浸水リスクが示されているエリアや、過去に浸水被害経験した住宅では、止水板の設置や排水設備の改善、防水性能の向上といったリフォームを組み合わせることで、被害を大きく軽減できる可能性があります。

 台風シーズンや梅雨時期が近づいてから慌てて工事を検討するのではなく、自宅の浸水リスクを把握したうえで、余裕を持ってリフォーム会社に相談しておくことをおすすめします。


小田急ハウジングでは、現地調査を行ったうえで、お住まいに合わせたリフォームをご提案しています。

外構工事から防水工事まで幅広く承っておりますので、洪水やゲリラ豪雨への備えをお考えの方はぜひお気軽にご相談ください!